今年は、本業であった料理に
再びきちんと向き合うことを始めた一年でした。
ずっとずっとそうありたいと思っていたのに
なぜかそうできないままに10年の月日が過ぎ、
ようやく本来の道に戻りました。
そして、そう出来たことで
たぶん自分の中での気持ちの落ち着きや、
心の持ち方がだんだんと変わってきて、
たくさんの新しいものと出会うことが出来ました。
長い間ずっと
がんばってもなかなか伝わらないなぁ...
伝えるのって難しいなぁ...
どうしたら伝わるのかなぁ...
ということばかりを思っていました。
けれど料理を通してだと、自分でも不思議なくらいに
きちんと伝えることが出来る、という実感が持てるのです。
なので、料理を召し上がって下さった方とだったら、
きちんと自己紹介を済ませたような気持ちになって
安心してお話ができるのです。
いつも料理のことを考え、素材に触れ、手を動かして
充実した毎日を過ごすことができた2016年。
今年の始め、こんなにも実りの多い一年になるとは
まったく想像していませんでした。
本当にありがたいことです。
口に入れるとカラダの中にすっと馴染んで
すぐに消えてしまうような、
けど無意識のうちに心の片隅にとどまって
何かの瞬間にふいに思い出してもらえるような、
そんな料理を
私自身も無理することなく
自然体でやわらかく生み出してゆけたらと思います。
私の料理を召し上がって下さったすべてのみなさん
どうもありがとうございました。
これからどんなことがやってゆけるだろう。
もっともっと何か気持ちに響くことが出来るはず。
とても、とても楽しみです。
来年もよろしくお願いいたします。
温かく、美味しい年末年始となりますように。
2016年、毎日、ほんとうにありがとうございました。
昵懇
大西麻子
2016年12月31日
ニコと一緒の10年なのも、とても嬉しい。
世田谷区の経堂でカフェを始めたのは2006年の8月のこと。
毎日いろいろな出来事がありつつも月日は流れ、
あれから10年後の今日も、やっぱり食べ物の仕事をしています。
3年前に葉山に移って来てからは
カフェ風な焼き菓子や軽食を作ることよりも、
料理教室や出張料理、コースでお料理をお出しするレストランの企画など
料理に重点をおいた活動が出来るようになってきて
自分がずっと思い描いていたような日々に
少しずつ近づいてきているような気がします。
私のやろうとすることは、何でもいちいち時間がかかって
一度に小さなことしか出来ません。
いろいろな宣伝も不十分だし、ただでさえ分かりにくい場所にあるというのに
相変わらず看板もありません。
それにも関わらず、興味を持って来て下さる方、
味や場所を気に入って通って下さる方が
たくさんいらっしゃること。
本当にありがたくて、嬉しいです。
こんなにこっそりと地味にやっているのに
どうして見つけてもらえるんだろう?って
ちょっと不思議に思うくらいです。
お客さまでも、知り合いや友達でも、家族でも、
ともかくその時に私の目の前にいる人に
何か少しでも喜んでもらえたらいいなと思って
毎日キッチンに立っています。
そして
『あれとあれを組み合わせたら美味しいかな』
『あの調理法でやってみたら面白いかな』
『このやり方だったら、あまり慣れていない人にもやりやすいかな』
みたいなことを、頭の中でいつも想像しながら
すぐ目の前の人に向けて料理をする日々を
これからも積み重ねてゆけるようにと、心から願っています。
何度もたくさん手を動かして味を作り出すことで
小さなことを繰り返す事、重ねる事の面白さや大きさを知った
とても貴重な10年でした。
この先達成したいと思う大きな目標みたいなものは
今のところはありません。
けど、この10年で得たものが、何かしらよい雰囲気となって
少しずつでも料理やお菓子に影響してゆくといいなと思っています。
もっともっと豊かなものが生み出せますように。








